交渉して終わりではない。売買条件を「契約書」に落とし込むのがプロの仕事
前回の記事では、不動産売却では「価格と条件は一心同体」という話をしました。
100万円値引きする代わりに現状のまま引き渡す。
価格は譲らない代わりに、売主が測量を行う。
こうして売主と買主が条件に納得すれば、交渉はまとまります。
でも、不動産仲介の仕事はそこで終わりではありません。
むしろ私は、
「決まった条件を、どう契約書に落とし込むか」
ここにも担当者の経験値が非常に表れると思っています。
「話はついています」ではダメ
例えば、
「残置物はそのままでいいですよ」
「この設備は壊れていることを了承しています」
「境界についてはこの状態で構いません」
売主と買主が口頭では納得していたとします。
ところが引渡し前になって、
「そこまで聞いていない」
「そういう意味だとは思わなかった」
となったらどうでしょう。
不動産売買は数千万円という金額が動く取引です。
「言った・言わない」にしてはいけません。
交渉で決めたことを、双方が同じ意味で理解できるよう契約書や特約に明記する必要があります。
契約書は「ひな型を埋める書類」ではない
不動産の売買契約書には、当然ひな型があります。
しかし、不動産は一つとして同じものがありません。
土地の形状も違う。
建物の状態も違う。
境界や越境の状況も違う。
売主・買主の事情も違います。
だから、ひな型の空欄を埋めれば契約書が完成するわけではありません。
「この物件、この売主、この買主なら、何を決めておかなければならないか」
を考える必要があります。
大切なのは「契約後に何が起こるか」を想像すること
ここに経験の差が出ます。
例えば古い一戸建てなら、
「この設備について後で問題にならないか?」
土地なら、
「境界や越境について認識の違いが出ないか?」
相続した実家なら、
「残置物は誰がどこまで処分するのか?」
引渡し時期に事情があるなら、
「もし予定通り進まなかった場合はどうするのか?」
契約書を作るときには、
契約する日のことだけではなく、決済・引渡しまでを想像する。
さらに言えば、
引渡し後に起こりそうなことまで想像する。
そして必要なことを契約条件として整理しておく。
私はこれが非常に大切だと思っています。

特約は「長ければ安心」でもない
何でもかんでも特約に書けばいい、という話でもありません。
難しい文章を大量に並べても、売主と買主が理解できなければ意味がありません。
重要なのは、
何を決める必要があるのかを見極め、それを誤解のない文章にすること。
そして契約前に、
「この条項はこういう意味です」
「売主様にはここまでしていただきます」
「買主様にはこの状態で引き渡します」
と双方にきちんと説明することです。
契約書は、不動産会社を守るためだけの書類ではありません。
売主と買主が安心して取引を完了するための書類です。
トラブルを解決するより、起こさない方がいい
不動産の仕事を長くしていると、いろいろなトラブルを経験します。
もちろん、問題が起きたときに解決する力も必要です。
しかし、それ以上に大切なのは、
「このまま契約すると後で問題になりそうだ」
と契約前に気付くことです。
過去に経験した失敗や難しい取引も、次の契約では大切な引き出しになります。
だから私は、契約書を見ると、その担当者がどこまで取引を想像しているのかが、ある程度分かると思っています。
奈良で不動産を売却するなら、契約内容まで大切に
奈良で不動産を売却するとき、どうしても査定価格や売却価格に目が向きます。
しかし、購入申込みが入り価格交渉がまとまったら、その次に重要なのが契約内容です。
何を約束するのか。
誰が何を負担するのか。
どの状態で引き渡すのか。
問題が起きた場合はどうするのか。
それを整理して、売主・買主双方が納得できる契約書にする。
そこまでが不動産仲介の仕事です。
奥居不動産事務所では、奈良市・生駒市を中心に不動産売却のご相談をお受けしています。
私は、
「契約できれば終わり」ではなく、「安心して引渡しを終えられる契約になっているか」
まで考えることを大切にしています。
価格交渉で良い条件をまとめる。
そして、その条件をきちんと契約書にする。
交渉力と契約力。その両方があってこそ、不動産仲介のプロだと思っています。
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