「この家、売れますか?」実は不動産屋でも即答できない理由【前編】
不動産の仕事をしていると、よく聞かれる質問があります。
「この家、売れますか?」
相続した実家や、長年住んできた家、空き家になった家など、不動産を売ろうと考えたときには、まず気になることだと思います。
この質問に対して、私は不動産の仕事を始めてから26年になりますが、少し変わった答え方をします。
「売れない不動産はないと思っています。ただ、どんな条件なら売れるのかは、調べてみないと分かりません」
これが、私の正直な考えです。
「売れない」のではなく、「どんな条件なら売れるのか」が分からない
不動産には、いろいろな条件があります。
駅から遠い。築年数が古い。土地の形が悪い。道路が狭い。建物がかなり傷んでいる。
再建築が難しい。市街化調整区域にある。権利関係が複雑。
一般的に考えれば、「売りにくそう」と思われる条件はいくらでもあります。
しかし、それだけで「売れない」と決めつけることはできません。
なぜなら、その条件を理解したうえで購入したい人や法人がいるかもしれないからです。
不動産は、すべての人にとって同じ価値ではありません。ある人にとっては欠点でも、別の人にとっては問題にならない。
場合によっては、それが魅力になることさえあります。
例えば「駅から遠い家」は本当に売れないのか?
例えば、駅から徒歩30分の家があるとします。駅近を希望する人からすれば、当然マイナスです。
しかし、「車があるので駅は関係ない」「静かな場所で暮らしたい」
「庭のある家が欲しい」「土地が広いほうがいい」
という人にとっては、必ずしも大きな問題ではありません。
価格とのバランスが合えば、購入を検討する人が出てきます。
つまり、
「駅から遠いから売れない」のではなく、「駅から遠いという条件を、どの価格・どの買主なら受け入れられるのか」
を考える必要があります。
築古の家も同じです
「築40年だから売れない」「築50年だから売れない」という相談もあります。
でも、築年数だけで不動産の価値を決めることはできません。
建物をそのまま使いたい人もいれば、古民家好きな人もいます。
「自分でリフォームしたい」「建物は使わず土地として考えたい」「安く購入して、自分で手を入れたい」
という人もいます。

大切なのは、
「この建物をどう評価するか」だけではなく、「この不動産をどう使う人がいるのか」
を考えることです。
不動産は「条件」と「価格」の組み合わせで考える
ここが不動産の面白いところでもあります。
例えば、3,000万円では売れなかった不動産が、2,500万円なら購入したい人が現れるかもしれません。
逆に、時間をかけてでも3,000万円で売りたいという考え方もあります。
つまり、不動産が売れるかどうかは、「物件そのもの」だけで決まるわけではありません。
物件の条件。価格。売却する時期。買主。販売方法。
こうしたものの組み合わせによって変わります。
だから私は、「売れない」と簡単に決めつけないようにしています。
不動産屋でも「この家は絶対売れます」と即答できない理由
では、なぜタイトルにもあるように、不動産屋でも即答できないのでしょうか。
それは、
「売れる」ということと、「どんな条件なら売れる」ということは別だからです。
物件を見ただけでは、「この価格なら買う人がいる」と断言することはできません。
周辺で実際にどのくらいの価格で売買されているのか。
現在、競合する物件がどれくらいあるのか。
どんな買主が考えられるのか。
その地域ではどんな物件が選ばれているのか。
土地や建物にどんな法的な制限があるのか。
こうしたことを調べて、初めて「この条件なら可能性がある」という判断ができます。
だから「売れます」より「どうすれば売れるか」が大切

私は、不動産会社が、「大丈夫です。売れますよ」と簡単に答えることより、
「この条件なら、こういう買主が考えられます」と説明できることのほうが大切だと思っています。
売主さんが本当に知りたいのは、「売れる・売れない」という二択ではないはずです。
本当は、「どうすれば売れるの?」ということだと思います。
次回の後編では、実際に私が不動産を見るときに考えていることや、条件の難しい不動産を売却するときに大切なポイントについてお話しします。
「売れない」と決めつける前に、できることがあります
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